母子を支える「訪問看護」という選択肢
先日、高松市で母子を対象とした訪問看護を行っている「ママスマイル」さんからご連絡がありました。「プレコンセプションケアの質問を拝見しました」「一度お話を聞いてほしい」とのこと。高松の事業所を訪問し、お話を伺ってきました。
訪問看護というと、高齢者向けのケアを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。私自身も、これまでそうしたイメージを持っていました。しかし今回の訪問を通じて、訪問看護が「産後のママと赤ちゃん」を支える重要な役割を果たしていることを改めて実感しました。
訪問看護=高齢者向け、という思い込み
ママスマイルさんのお話では、母子を対象とした訪問看護の取組自体が、高松市内でもまだ十分に知られていないとのことでした。
実際には、産後の体調不良、育児への不安、精神的な不調など、専門的な支援が必要なケースは少なくありません。それにもかかわらず、「訪問看護は高齢者向け」というイメージが先行し、支援につながっていない現状があるようです。
医療現場でも十分に知られていない現実
香川大学には地域連携室があり、ママスマイルさんと連携することもあるそうですが、助産師を含む医療関係者の中にも、母子対応型の訪問看護を知らない方がいるというお話がありました。
制度やサービスが存在していても、医療現場で共有されていなければ、必要な方のもとには届きません。この点は、非常に重要な課題だと感じました。
産後ケア事業と訪問看護の違い
高松市には産後ケア事業もありますが、
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利用回数に制限がある
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予約が取りにくい
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単発的な支援になりやすい
といった声もあるそうです。
一方、訪問看護は医師の指示のもと、継続的に家庭を訪問し、母子の状態を見守ることができます。一度きりの支援ではなく、「伴走型」の支援ができる点は、大きな特徴だと感じました。
「家の中」に入るからこそ気づけること
保健センターの保健師による家庭訪問も大切な取組ですが、訪問看護では実際に生活空間の中に入り、ベッドの位置や生活動線など、より具体的な助言ができるそうです。
こうした関わりがあることで、母親が本当に追い込まれる前に、小さな変化に気づき、支援につなげることができます。特に、
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精神疾患を抱えるお母さん
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自分から「助けて」と言えない方
への支援の重要性が強く伝わってきました。
産後1か月以降の「支援の空白」
産後1か月までは産婦人科でのサポートがありますが、その後は支援の選択肢が限られてしまう現状があります。産後ケア事業や助産院の取組だけでは、継続的な支援が難しいケースもあるとのことでした。
訪問看護は、そうした「支援の空白」を埋める可能性を持った仕組みだと感じます。
支援が必要な人ほど、声を上げられない
今回のお話を通じて強く感じたのは、支援が本当に必要な人ほど、自分から助けを求めることが難しいという現実です。
だからこそ、「困ったら来てください」ではなく、こちらから気づき、つながる仕組みが重要なのだと思います。
今回の視察は、母子支援のあり方について改めて考える、大変貴重な機会となりました。
この現場の声を、今後の政策議論や施策づくりにつなげていきたいと思います。
「双子や三つ子、不登校も支援、「訪問看護」の利用広がる…15歳未満の利用は10年で4倍に」
※追記
今回の訪問で伺った内容は、県の子ども政策推進局にもお伝えしました。
訪問看護による母子支援の重要性については、行政側にも共有できたと感じています。
まだ課題は多いですが、こうした現場の取組が、少しずつでも制度や連携につながっていけばと思います。

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