福祉・介護議員活動 2025.12.23

障害者就労支援フォーラム2日目

就労支援フォーラム2日目に参加して

――「働く」を社会保障の柱にするという視点――

就労支援フォーラム2日目は、初日以上に「制度」「政治」「当事者の声」が重なり合い、非常に考えさせられる内容でした。
この日は、就労支援を単なる福祉サービスとしてではなく、人口減少社会における人材確保、地域経済、社会保障そのものとして捉え直す視点が、さまざまな角度から示されました。


アナログからデジタルへ――DXは難しいものではない

分科会では、「DX(デジタルトランスフォーメーション)は難しい」という先入観そのものが課題である、という指摘がありました。

たとえば、
・デバッグは“間違い探し”の仕事
・データ入力の前段階である転記作業
・レシート入力や確認作業

こうした仕事は、実は就労支援の現場と親和性が高いものです。
重要なのは、いきなり大規模に始めるのではなく、PC1台・利用者1人からでも試してみること
そしてまずは支援者自身が体験し、「できそうか」「利用者が納得できそうか」を確かめる姿勢が大切だと強調されていました。

また、ITツールには無料で使えるものも多く、ツールを使えるようになることで、事業所だけでなく自宅でも活用できる力につながるという点も印象的でした。


工賃と満足度は比例しない――大切なのは「対話」

興味深かったのは、毎月行っているアンケート(NPS)の結果として、
工賃と満足度は必ずしも比例しない
という事実が示されたことです。

一方で、利用者の満足度と強い相関があったのは、
職員との対話の時間でした。

これは、障害の有無にかかわらず、私たち自身にも当てはまる話だと思います。
お金だけでなく、やりがいや、認められているという実感が人を支えている。
「会話は、相手を大切に思っていることを示す機会だ」という言葉が、とても心に残りました。


就労を社会保障の柱に――ウェルフェアからワークフェアへ

特別講演では、「就労を社会保障の柱に据える」という考え方が示されました。

障害のある方、生活困窮者、ひきこもり、刑務所出所者など、現代社会では課題が複合化しています。
働く場がなければ、社会との接点を失い、孤立してしまう。
だからこそ、就労は単なる自立支援ではなく、社会的包摂を実現する最も重要な手段だという指摘です。

ヨーロッパで進んできた「ソーシャルインクルージョン」の考え方や、ソーシャルファームの事例、日本でも条例化やモデル事業が進んでいる現状が紹介され、就労支援が確実に次の段階に進んでいることを実感しました。


WORK! DIVERSITY――包摂的就労という国家的な動き

パネルディスカッションでは、「WORK! DIVERSITY(包摂的就労)」の取り組みが紹介されました。

特徴的なのは、
・障害の有無に限らず「働きたい人」を支援対象とすること
・福祉、雇用、教育、産業を縦割りでなくつなぐこと
・モデル事業を通じて、経済的・財政的効果を検証していること

すでに国の方針にも反映され、超党派で議論が進んでいるという話もあり、これは一過性の取り組みではなく、中長期的に社会の仕組みを変えていく動きだと感じました。


課題は「制度」より「人」

一方で、現場の大きな課題として挙げられていたのが、
伴走支援を担う人材(マンパワー)の不足です。

障害者雇用率を達成できていない企業は多くありますが、必ずしも「やる気がない」わけではありません。
どう受け入れ、どう支えればいいのか分からない――その不安に寄り添い、並走する存在が足りていないのが実情です。

そこで重要になるのが、認定事業者や就労支援士といった専門人材の育成と活用です。
行政だけで抱え込むのではなく、現場を知る人が支援の主役になる仕組みが求められていると感じました。


当事者の言葉が示した「支援の本質」

当事者の方々の発言も、強く心に残りました。

「自分ができないことだけをサポートしてもらう。その他は自分でやる」
「障害は人生の途中で突然やってくる」

こうした言葉から伝わってきたのは、
支援とは“代わりにやってあげること”ではなく、
できる前提で環境を整えることなのだということです。


言語化する力が、人を育てる

最後に紹介されたエピソードでは、
仕事をする中で「何が課題か」「原因は何か」「どう行動するか」を、同僚と毎晩書き出し、言語化し続けたという話がありました。

その積み重ねによって、
今では自分で課題を見つけ、行動しながら仕事に取り組めるようになった――。

就労支援の本質は、作業を教えることだけではなく、
考え、言葉にし、行動する力を一緒に育てることなのだと、あらためて感じました。


おわりに

2日目を通して感じたのは、
就労支援は「特定の人のための福祉」ではなく、
誰もが途中で支えを必要とする可能性がある社会における、共通の基盤づくりだということです。

制度、現場、当事者、政治――それぞれが少しずつ重なり合いながら、社会の形を変えようとしている。
今回のフォーラムは、その大きな流れを実感できる2日間でした。

今後、この学びをどう地域や政策に生かしていくかは、改めてじっくり考えていきたいと思います。

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