福祉・介護議員活動 2025.12.22

障害者就労支援フォーラムin東京

就労支援フォーラム1日目

――「不正はなぜ蔓延るのか」から見えた、就労支援の現在地

就労支援フォーラム1日目は、正直に言って情報量が多く、頭が追いつかないほど濃密な一日でした。
しかし同時に、これまで現場で感じてきた違和感や疑問が、言葉と構造として整理されていく感覚もありました。

この日の大きなテーマは、

「不正はなぜ蔓延るのか
~指定と指導のあり方を含めて~」

でした。


農福連携の成功事例から始まった問い

冒頭で村木厚子氏から紹介されたのは、浜松の農福連携の事例。
当初は「農業はハードワークで、障害のある人には無理だろう」と言われていた現場で、毎年一人ずつ受け入れを進め、現在は24名が働いているという話でした。

  • ハウス内にミストを導入(1基1200万円)

  • 「暑い・寒いは当たり前」という前提を疑い、環境を変えた

  • 結果として、収益性が高く、投資は早期に回収

  • この取組が広がり、浜松全体が「ユニバーサル農業」へ

印象的だったのは、

「障害者(ニューカマー)が、産業全体を変えた」

という言葉でした。


厚労省から示された問題意識

― A型スコア方式・就労支援士・公的部門

続いて、厚生労働省の障害福祉課の大竹課長から、制度の現状と課題が示されました。

A型スコア方式について

  • 大量雇用の歯止めとして導入されたが、

  • 実際には高スコアの“抜け道”が多い

  • 生産活動シートなどでの対策を予定

障害者就労支援士(仮称)

  • 医療・福祉・就労をつなぐ専門人材

  • 既存資格(社労士、ジョブコーチ等)との整理が課題

  • 国実装に向けたロードマップを検討中

公的部門の就労支援

  • トライアル雇用やジョブコーチ制度はあるが、

  • 現場では業務切り出しやマッチングがうまくいっていない

  • 自治体間で対応のばらつきが大きい


「もにす認定」は大丈夫なのか?

会場からは、もにす認定(障害者雇用に優良な中小事業主認定)についての不安も出されました。

  • 「心配だが、本当に大丈夫なのか?」

  • 書類は整っているが、実態が伴っているのか

  • 認定後のフォローやチェック体制の弱さ

「認定」がお墨付きではなく、免罪符になっていないかという問いが投げかけられました。


パネルディスカッション

「不正はなぜ蔓延るのか」

ここからが、この日の核心でした。

指定の入口では止められない現実(平松さん)

  • 指定申請時、書類が整っていればNGにできない

  • 名古屋市では、利用者からの評価が悪い事業所に対し、
    独自基準で対応してきた

経営改善相談の実態(関原さん)

  • A型の経営改善相談が非常に多い

  • 行政は決算書を見るのが苦手

  • いきなり2000万円の赤字が翌年解消

    • 理由:「売掛金を入力してませんでした」

    • 明らかに不自然

指定取消はどこで起きやすいか

  • 職員配置のごまかしは、顕在化しやすい

  • 6年に1回の指定更新が、重要なチェックポイント

  • 社会福祉法人基準の決算様式を、
    株式会社等に無理やり当てはめている現状

行政側のリスク

  • 悪しきA型を判断する明確な基準がない

  • 国家賠償請求が起きた場合、

    • 職員個人への賠償リスク

    • そのため保険に加入している自治体も

  • 警察への相談も、受理されないケースが多い


「淘汰されるべき」という厳しい言葉

パネルでは、こんな指摘もありました。

「こうした事業者に利用者を取られるような経営をしているなら、淘汰されてしまう」
「業界再編が必要だ」

耳の痛い言葉ですが、制度の網をかいくぐる事業者が増えれば、真面目な事業者ほど苦しくなるという現実を突いています。


現場からの答え ― 工賃アップの実践者・砂長さん

最後に強く印象に残ったのが、工賃アップに取り組んできた砂長さんの話でした。

利用者に
「これ、自分で欲しい?」と聞いたら、
「家にあったら邪魔ですね」と言われた。

一瞬、言葉を失ったそうだ。

「……せめて好きって言って!(笑)」

しかし、その正直さに救われたとも言われていました。

「自分で買わない商品は、誰も買わない」

工賃アップは、

  • 加算

  • 制度

  • 書類

だけで実現するものではありません。

商品力、マーケット感覚、そして利用者の率直な声
それを真正面から受け止め、改善し続ける姿勢こそが本質だと、改めて感じました。


1日目を終えて

この日の議論を通じて見えたのは、

  • 不正は「悪意」だけで生まれているわけではない

  • 制度の隙間、行政の限界、人材不足が重なっている

  • しかしそのツケは、利用者と誠実な事業者に回っている

という現実でした。

指定・指導・認定・加算
これらをどう設計し直すのか。令和9年度の報酬改定へ向けて、厚生労働省でも現在、真摯に取り組んでいると感じました。

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