(質問)
大規模災害が発生した際には、行政や社会福祉協議会だけでなく、様々な専門性を持つNPOや民間団体など、多様な主体による支援が必要となる。
その一方で、こうした団体がそれぞれ個別に活動するだけでは、被災者のニーズと支援がうまく結びつかなかったり、支援の重複や偏りが生じたりすることもある。そのため、平時から関係団体との関係を構築し、災害時にそれぞれの力を効果的につないでいく中間支援組織の役割は非常に重要だと考えている。
6月の委員会では、こうした観点から、平時からのネットワークづくりや関係団体との連携、災害時に実際に機能する組織づくりについて伺った。それから約3カ月が経過したが、災害中間支援組織の実効性を高めるために県としてどのような取組みを進めてきたのか、また今後どのように組織の機能を高めていこうとしているのか伺う。
(大野課長)
昨年7月に設立した香川県災害中間支援組織は、これまで幹事団体である県、香川県社会福祉協議会、香川大学、日本赤十字社香川県支部の4者を中心に、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、いわゆるJVOADが主催する全国フォーラムやオンラインミーティング、また内閣府主催の「ぼうさいこくたい」などに参加し、他県の災害中間支援組織との連携強化や先進事例を学ぶなど、大規模災害発生時に円滑に専門ボランティアの受け入れやマッチングができるよう活動を行ってきた。
さらに、災害中間支援組織の実効性を高めるために、登録いただいている県内のNPOや青年会議所などの協力団体と、平時から顔の見える関係づくりを進めることが重要と考えている。
協力団体とのネットワークづくりを進めるため、今年8月に「特定非営利活動法人わがこと」を5団体目の幹事団体に加え、組織の運営体制を強化した。NPO法人わがことは、県内のNPOや市民活動団体との幅広いネットワークを有しており、団体の強みである地域コミュニティとのつながりを活かして、災害時には被災地域のニーズを把握する役割を担うとともに、平時から災害中間支援組織が協力団体と活動するためのハブ役となっていただくこととしている。
現在進めている取組みとしては、まず、10月に災害中間支援組織と協力団体との意見交換会を開催する。この意見交換会では、幹事団体と協力団体が初めて一堂に会し、幹事団体からは現在の中間支援組織の活動状況を、協力団体からは、それぞれの団体の活動内容や災害時の協力体制などを共有するとともに、今後に向けた意見交換会を行いたいと考えている。
また、11月にはJVOAD主催の出前研修会を活用し、JVOADの方に直接指導していただく。この研修は、幹事団体と協力団体が参加して、「災害時の被災者支援コーディネーション」をテーマに、実際に災害が起こった際に、災害中間支援組織がどのような役割を果たすのかといった基本的な事項等を講義していただくとともに、研修の後半では、本県が被災した場合を想定しての実演演習を行う予定としている。
こうした取組みを通じ、平時から協力団体と顔の見える関係性を築き、多様な主体による支援が必要となる災害時に、被災者のニーズと必要な支援を迅速かつ効果的に結びつけられるよう、実効性のある災害中間支援組織を構築してまいりたい。
(再質問)
県域で関係団体とのネットワークを構築して、中間支援組織の機能を高めていく取組みは、ぜひ着実に進めていただきつつ、その上で、次の課題として重要だと考えているのが、県域で構築したこの仕組みを、実際に被災者の支援の最前線となる市町の現場とどのようにつないでいくのかという点である。
先日、私自身、熊本の被災地を訪れて、行政や社会福祉協議会やNPOなどから話を伺った。現地で感じたことは、災害が発生すれば、行政同士の応援だけではなく、避難所での、在宅避難者への支援、福祉的な支援、さらには専門的な技術を必要とする支援など、被災者のニーズが非常に多岐にわたるということ。そして、県域に多くの支援団体とのネットワークがあったとしても実際に被災者に最も近い市町側が、そのネットワークと十分につながっていなければ、必要な支援を必要な人に届けることは難しくなる。
能登町が能登半島地震の際に、その経緯と検証を踏まえてまとめた本でも、地域外の企業やNPO、ボランティア等との平時からの連携の重要性が課題として示されている。
今回の論点は、単に県域のネットワークを拡大することではなく、そこから市町の現場へどうつなげるかにあると考えている。
本県の地域防災計画においても、県・市町、社会福祉協議会、NPO等の3者が平時から連携体制を強化することとされている。被災地支援には、地域内外から駆けつけるボランティアの力が欠かせない。災害時には、災害ボランティアセンターが被災者のニーズとボランティアをつなぐ重要な役割を担う。発災時には、市町社会福祉協議会などを中心に災害ボランティアセンターが設置され、ボランティアの募集・受付や被災者ニーズの把握、活動の調整などが行われる。災害ボランティアセンターには、被災者が必要としている支援や現場で活動するボランティアに関する情報が集まることから、こうした地域の拠点と県域の災害中間支援組織とが平時からつながり、発災時に情報を共有しながら、必要な支援を迅速かつ効果的に届けられる体制を整えておくことが重要である。
そこで、県域の災害中間支援組織と災害ボランティアセンターを設置・運営する市町社会福祉協議会や市町など、地域の支援主体との接点を平時からどのようにつくっていくのか。また、発災時に市町が県域のネットワークを実際に活用できる体制をどのように構築していくのか伺う。
(大野課長)
災害ボランティアセンターは、被災地域の市町社協が市町と協議の上、設置・運営することを基本としており、災害時にボランティアが被災者の生活復旧・再建を支援するための活動拠点として重要な役割を担っていると認識している。
県では、県社協が年間を通じて実施する市町社協職員等を対象とした災害ボランティアセンターの設置運営等に関する実践的な研修訓練を支援しており、研修や訓練には県も参加している。
また、令和4年に県と県社協が締結した「香川県災害ボランティア支援センターの設置運営に関する協定」に基づき、災害時には県社協が県と協議の上、香川県災害ボランティア支援センターを設置することとしている。この支援センターは、市町センターとの連絡調整や、ボランティア活動に必要な資機材等の確保など、県と県社協が協力して、市町センターの設置運営を支援するものである。
さらに、県の災害中間支援組織と災害ボランティアセンターを設置運営する市町、市町社協等が平時から接点を持ち、発災時に県域のネットワークを活用できる体制を築くことは重要と考えている。
そのため、災害中間支援組織の協力団体が、災害時に提供できる活動内容や人員体制、提供できる資機材、専門的な支援などの情報を整理し、市町社協に共有していきたいと考えている。今後、災害中間支援組織が開催する意見交換会や研修会に、市町・市町社協職員にも参加していただきたいと考えている。
このように、災害中間支援組織とその協力団体、市町・市町社協が平時からネットワークを構築することにより、災害時に各地域から寄せられる災害ボランティアに関する多様な支援ニーズを県域のネットワークにつなぎ、必要な情報や支援が迅速かつ効果的に届けられるよう、連携体制の強化に努めてまいりたい。
(再質問)
平時から、災害ボランティアセンターと県域のネットワークとの調整を進めることで、発災時に県外から来るNPO・団体・企業などを災害ボランティアセンターにつなぎ、支援をムラなく届けることが重要である。
また、市町が避難所でのシャワーや風呂の不足、浸水・一部倒壊した家屋で暮らす要配慮者、復旧していない農業など、災害ボランティアセンターにはニーズとして上がりにくい地域の課題を把握し、それをNPO等と共有することも重要である。熊本地震の際にも、避難所や個別の支援に加え、復興を担う専門NPOにつなぐことで、支援を漏れなく現場に届けた事例がある。
市町社協との平時からの連携に加え、行政、社協、ボランティア・NPOが連携し、ボランティアセンターに集まるニーズだけでなく地域全体のニーズを把握した上で、必要な支援にリソースを配分し、支援の漏れをなくすことが必要である。国の防災計画でも、三者連携や情報共有会議の整備・強化が示されていることから、今後の訓練において市町の意見も聞きながら、必要な支援を届けられる体制を整えていくことについて、部長の考えを伺いたい。
(政策部長)
行政とボランティア、社協、NPO等いろいろな主体があり、いざ発災したら情報が錯そうする。それぞれの役割を明確にし、平時からきちんと整えておくことが重要である。
一般ボランティアは社協が、専門ボランティアは災害中間支援組織が対応するものと考えているが、被災地では、一般ボランティアが家屋内の泥のかき出しや家財道具の搬出などを行い、屋根の修繕や重機を必要とする作業は、専門ボランティアが対応すべきである。そういった線引きがあるが、実際には同じ被災者を支援することになるため、日頃から互いに必要な情報を共有しておくことが重要である。
情報共有のための体制づくりについて、これまでは市町や市町社協の職員が参加していなかったので、県社協から、市町社協の職員も交えた勉強会や意見交換を行いたいとの声がある。今後は、平時から情報共有を進め、それぞれの役割や強みを理解し、いざという時に冷静に対応できるよう取り組んでいきたい。
(再質問)
勉強会に市町社協の方も参加していただけることで、市町との顔の見える関係ができ、スムーズな支援につながると思う。今後は、市町の職員、例えば総務課の担当者にも参加していただくことは可能か。市町の職員が参加することで、災害中間支援組織と市町とのつながりが生まれ、行政・社協・災害中間支援組織の三者連携にもつながると考えるが、その点について意見を伺う。
(政策部長)
県も県社協と常に連絡を取り、いざという時に連携できるようにしているため、市町においても、市町と市町社協が同じように連携して取り組めるよう促していきたい。
(要望)
屋根にブルーシートを貼る応急処置や、重機を使って家財を取り出す作業、避難所の支援、農地の復旧など、NPO・民間ができる支援は幅広い。こうした支援の手を多様化し、漏れがないようにすることが重要である。情報共有会議などを通じて全体像を把握し、支援の漏れやムラをなくすため、行政・社協・NPOが連携した体制づくりを今後推進していただきたい。
カテゴリー 一覧