2025年10月3日 経済委員会質疑応答状況 食品関連事業者への輸出支援について

 

(質問)

  人口減少が進み国内市場が縮小するなかで、販路を海外に広げていくことは地域経済にとって喫緊の課題である。

 

本県には小豆島をはじめ、醤油や佃煮、そうめん、オリーブといった特産品が数多くあるが、実際に輸出に取り組んでいる事業者はごく限られている。多くの事業者からは「輸出に関心はあるが、何から始めればよいのかわからない」という声が寄せられている。

 

県ではジェトロ香川貿易情報センター内に「海外ビジネス展開促進センター」を設置し、職員及び専門アドバイザーが相談を受け、適切な支援につなげていく体制を整えていると承知している。

また、かがわ産業支援財団では、専門アドバイザーが、幅広く輸出に関する個別相談に応じているとも伺っている。

 

こうした取り組みは大変重要だが、輸出初心者にとっては支援メニューが体系的に整理されていないので、「相談の最初の一歩を踏み出せていない」といった声も根強くある。

 

そこで、本県として、特に輸出未経験の小規模事業者に対して、どのように支援体制を整えているのか。さらに、これらの制度をわかりやすく整理し、より広く周知していくためにどのような工夫をされているのか伺う。

 

 

(寺嶋商工労働部長)

  県内企業が新たな市場を求めて海外でビジネスを展開する場合、国内の事業展開に比べて、各国で異なる法規制や商慣習・文化の違いなどを理解したうえで対応する必要がある。このため県では、県内企業がそうしたハードルを乗り越えられるよう、相談対応等を行う支援体制を整えている。

 

具体的には、小規模事業者が輸出など海外展開をスタートする際には、まず、県内企業の総合的な支援機関であるかがわ産業支援財団「国際取引相談窓口」を設けており、そこに配置した、海外取引実務に精通するアドバイザー3名が、個別訪問やオンライン相談で、各企業のニーズに応じたアドバイスを行っている。

 

昨年度の相談内容としては、海外見本市への出展相談販路拡大、輸出入手続き等の貿易実務に関する内容が多かった。それ以外にも、輸出先の規制の情報マーケティングの相談などにも、幅広く相談に応じている。なお、今年度の相談のうち約4割が小豆島の事業者からの相談で、すべて食品関係の事業者であるが、今後輸出に取り組むにあたってのアドバイスを求めるものが多かった。

 

また、ジェトロ香川を通じても海外展開支援を行っており、県では、県内企業の海外展開を促進するため、ジェトロ香川内に、「香川県海外ビジネス展開促進センター」を設け、職員及びアドバイザー計4名が、海外展開に関心のある県内企業等を年間100~150社、件数としては延べ200回程度訪問し、ニーズに沿った情報提供、アドバイス、支援事業等の紹介などを行っている。

 

かがわ産業支援財団で受け付けた、より専門性の高い海外展開の案件については、財団からジェトロにつなぐなどの対応をとっており、ジェトロでは、独自の支援メニューや、国・県・各機関の支援メニューの中から、事業者の状況や進捗に応じたメニューを提案し、伴走支援するよう努めている。

 

委員から整理、周知といったご指摘もあったが、かがわ産業支援財団の「国際取引相談窓口」をワンストップの入口として対応しており、ジェトロ等と連携して事業者にとって必要な情報提供やアドバイス、支援メニューの提案ができる体制としているので、事業者の方には、まずはこの窓口にご相談いただければ、混乱なく必要な情報等を得られると考えている。

 

こうした海外展開に関する支援体制や制度をより広く周知するため、県・財団・ジェトロにおいて、ホームページや機関誌等でPRしているところであるが、輸出未経験の小規模事業者等に支援体制や制度を具体的に知っていただくきっかけとなるよう、今後、新たにこうした取組みを紹介するチラシを作成し、市町の窓口や商工会等の見やすいところに配架するなど、関係機関と連携し、より効果的な周知に努めてまいりたい。

 

 

(再質問)

小豆島の事業者でも、窓口を知っている方はすぐに行けるが、知らないケースも多くみられるので、ぜひチラシ等で情報を提供いただきたい。

 

他県の事例に目を向けながら、初心者が一歩を踏み出せる環境づくりについての提案であるが、まず岩手県では、「岩手穀物加工食品輸出コンソーシアム」が設立され、県内の食品メーカー7社と商社・関係団体が連携し、EU市場をターゲットに共同輸出を進めている。

共同で海外見本市に出展し、バイヤーを招聘して、単独では難しい商談を実現し、2024年には約300件の商談と1,400万円超の輸出につながった。行政支援と連動した取組みで、小規模事業者が小ロットでも輸出可能となる仕組みを後押しした好事例である。

 

次に福岡県では、「福岡フードビジネス協議会」が設立され、食品事業者が共同で展示会に出展するだけでなく、事務局が年10回の定例会を開催し、輸出に関する情報提供や先進事例の共有を行う学びの場を提供している。輸出経験の浅い事業者にとって、情報交換と成功事例を学ぶ機会があることは、輸出に挑戦する大きな後押しとなっている。

 

さらに大分県では、大阪・関西万博を契機に、海外顧客向けECプラットフォーム「Buyee」に大分県専用ページを開設し、工芸品や酒類など200品目を掲載している。県内事業者は従来通り国内業務を行うだけで、海外販売・配送はBuyeeが代行する仕組みを整備し、個々の事業者の負担を増やすことなく越境EC販路を確立している。小規模事業者が無理なく海外販売に参入できる実践的な仕組みとして注目されている。

 

最後に、島根県では、県と産業振興財団、ジェトロが連携して「しまね海外ビジネスサポートセンター」を設置し、窓口を一本化している。輸出初心者が「まずここに行けば大丈夫」と思える体制を整え、米国向けECサイト「Umami Insider」で県産品を直接販売する取り組みを始め、販路拡大につなげている。

 

これらの事例から学べるのは、

①窓口を一本化し初心者が迷わない環境をつくること、

②小ロット対応を可能にする共同輸出・共同物流を整備すること、

③情報共有や学びの場を提供し、越境ECのような仕組みで負担を軽減すること、の三点である。

 

本県においても、既存の相談体制や補助制度を活かしながら、これらを組み合わせた輸出初心者向けの支援パッケージを整備し、広く周知していただきたい。

 

そこで本県として、岩手・福岡・大分・島根のような事例を参考に、小規模事業者でも一歩を踏み出せる環境づくりに取り組む考えがあるのか伺う。

 

 

(寺嶋商工労働部長)

①窓口の一本化、②小ロット対応やECサイト活用など輸出初心者が参入しやすい環境づくり、③学びの場の提供など、小規模事業者でも一歩を踏み出せる環境づくりの取組みについては、県としても必要と考えている。

 

まず、1点目の窓口の一本化については、先に述べたとおり、かがわ産業支援財団の相談窓口をワンストップの入口としつつ、ジェトロ香川の「香川県海外ビジネス展開促進センター」を専門的な窓口として、重層的に2段階で設け、より事業者にとっては手厚いものになっていると考えている。完全に窓口を一本化することは難しいが、両機関と相談・協力しながら、初心者である小規模事業者が迷わないよう対応していきたい。

 

次に、2点目の小ロット対応やECサイト活用など、輸出初心者が参入しやすい環境づくりについては、ジェトロでは、海外の主要ECサイトにつながる日本商品特設サイトを設けており、BtoBの海外バイヤー向けカタログサイト「JAPAN STREET」に商品を掲載すると、ジェトロが招待した世界中のバイヤーに紹介できる仕組みがあるほか、BtoCの海外消費者向け日本商品特設サイト「JAPAN MALL」では、複雑な輸出手続きが不要で、国内納品、円建てで取引ができ、小ロットでも受注可能など、参入しやすい環境が用意されており、県内事業者も活用している。

 

このほか、県内で国内輸出商社と県内食品事業者との対面型商談会を開催しており、県内からは19社が参加している。

 

また、経済団体である高松商工会議所でも、国内販売の感覚で低コストで簡単に、自身での海外輸送不要で海外に売ることができる越境ECモールZen Plus(ゼンプラス)を活用した海外展開支援を開始している。出店者となる事業者は、注文が入った場合、商品を大阪府内の指定倉庫へ発送するだけで済み、顧客サポート・海外発送・決済作業などは、運営事業者であるZen Group株式会社が対応、1点から受注可能であるなど、輸出初心者でも取り組みやすいスキームとなっている。

 

このように県内にいながら、輸出初心者でも取引や商談等ができるよう、ジェトロや関係機関、団体等と連携した取組みを行っている。

 

また、3点目の学びの場の提供については、中小などなかなかノウハウをもっていない県内企業にとって、海外展開にあたる人材育成が課題となっている中、ジェトロ香川と連携して「海外ビジネス人材育成講座」を年8回程度開催している。

 

これまで4回開催しており、今後の予定として、11月6日に、ブラジルの基礎知識やニーズをテーマとした講座をオンラインで、また11月18日には、小豆島町で、「これから輸出に取り組んでみたい」「商談に挑戦したことはあるけれど成果につながらない」といった方に向けた、輸出商談のスキルアップをテーマとした講座を開催予定である。11月11日まで参加者を募集しているので、よろしければ委員からも、幅広い事業者にお声がけいただきたい。

 

このように、小規模事業者でも一歩を踏み出せる環境づくり、事業者支援は重要と考えており、関係機関等との連携を密に、先行する他県の事例も参考にしながら、取組みの充実に努めてまいりたい。

 

 

(要望)

県内全域で輸出に取り組みやすい環境づくりができるよう、こちらでも周知していきたい。

 

日本には世界シェアを占めるニッチトップ企業が多数存在し、規模が小さくても世界市場で独自の地位を確立している。

 

本県の場合、例えば小豆島では木桶仕込みの醤油や、それを生かした佃煮、そうめん、オリーブなどの特産品が高いポテンシャルを持っている。大生産地には及ばないものの、唯一無二の魅力を有しており、世界市場で香川ならではの存在感を発揮できると考える。

 

こうした特産品をグローバルニッチトップと位置づけ、輸出支援を初心者にも分かりやすく整理し、小ロット対応や販路開拓の後押しを組み合わせることで、県内事業者が一歩踏み出しやすい環境が整うと思う。

 

既存の支援制度を横断的に結び直し、事業者が自分たちの製品も世界で通用すると実感できるよう戦略的な支援を推進していただきたい。