
(質 問)
近年、県内企業の経営者の高齢化が進み、後継者不在による廃業や事業停止が深刻な課題となっている。
特に香川県内の事業者のうち約99%が中小企業であり、その多くは家族経営や個人事業主といった小規模な形態である。小豆島をはじめ、地域経済の基盤はこうした零細企業によって支えられており、大企業のようにM&Aや第三者承継にすぐに踏み切ることは難しいのが実情である。
地域に根ざした中小企業の技術や雇用、販路などの経営資源が、承継されることなく失われてしまえば、それは単なる一企業の問題にとどまらず、地域経済そのものの持続性を脅かすものだと思う。新規創業や企業誘致に取り組むことと同時に、今ある企業を守り、つなげていくことが重要であり、事業承継支援は喫緊の政策課題だと考えている。
そのうえで、先日、第三者承継の成功事例として注目される高松市内のマスモト興業有限会社を視察し、また事業承継・引継ぎ支援センターの所長から直接話を伺う中で、そもそも相談に至っていない事業者が少なからず存在しているという課題があることに気づかされた。
センターの所長によると、事業承継は家庭内のことと考えられていて、他人には相談しづらいという感覚を持つ経営者も多く、実際に誰にも相談できていないまま時間だけが過ぎてしまっている事例が多数あるとのことであった。これは制度の隙間というよりは、空気の壁と思っており、それに対応した支援の在り方が問われていると感じた。
県として、事業承継支援の実績は着実に積み上がっており、マッチングや専門家派遣、M&Aの仲介支援など、多面的な制度整備が進んでいることは高く評価されるべきである。
ただし、こうした支援は制度を知っていて、行動に移せる事業者にとっては有効でも、そもそも相談にすら至っていない事業者には届きにくいという課題がある。
そこで、まず、制度の前段階として、事業者が相談に至るまでの心理的ハードルをどう乗り越えるかが重要だと考えるが、県として、そうした潜在層へのアプローチについての考えを伺う。
(寺嶋商工労働部長)
県内企業の経営者の平均年齢は60.4歳、後継者不在率は48.7%と、事業承継に向けた取組みが急がれる状況の中で、香川県事業承継・引継ぎ支援センターの取扱った相談件数は年間400件から多い年で700件に留まっている。
これは、委員御指摘のように事業承継を家庭内の事情と捉えたり、事業承継に向けた準備の必要性への認識が十分でないなどの理由で誰にも相談できていない方が多いことも背景にあるためと考えられる。
事業承継を促進するためには、このような潜在層が支援センターなど支援機関と接点を持つようになることが必要であると考えている。
そこで、県では、今年度から、地域の事業者の状況をよく知る商工会・商工会議所と協働して、事業承継に向けた取組みの必要性が高いにも関わらず、そうした支援機関に相談できていない事業者にアプローチする事業承継支援強化事業を行うこととしている。
具体的には、商工会等がピックアップした事業者に対し、経営に関する将来への展望や考え、支援センター等の支援を受けることへの関心などを尋ねるアンケートを送付し、回答のあった企業には個別訪問を行い、さらに詳しく状況を聞き取りながら、事業承継に向けた準備の必要性や支援センター等の支援内容の説明を行い、最終的には支援センター等へ引き継ぐことを目指している。これにより、事業承継について誰にも相談できていない潜在層への、いわゆる掘り起こし、アプローチができるのでないかと考えている。
現在、商工会等とアンケートの送付に向けて調整しているところであり、来月にはアンケートを送付したいと考えている。
(再質問)
アンケートをして、そしてさらに個別訪問をしていくというところで、是非必要性が高い事業者にアプローチしていくことができればと思っている。
ちなみに、必要性が高いかどうかは、どのように判断するのか。
(寺嶋商工労働部長)
例えば、地域にとってのれんとして大事なものとか、地域にとってかけがえのないものであるとか、地元に密着しているとか、地域に根差した活動しているとか、その事業所がなくなったら地域にどんなデメリットが生じるとか、そうした観点から抽出していくと思っている。
(再々質問)
東京都の取組みの中で、特定業種に絞った事業支援というのをされており、公衆浴場のような、地域文化と生活を支える事業については、そういった業種に特化した形でマッチングを支援されているようある。
小豆島では、島内で唯一の事業・業種も結構あると聞いている。例えば、左官や縫製業。営業されているところがなくなれば、もう頼むところがなくなるとか、そういった声も聞いており、こうした事業者の必要性という部分も、是非、勘案いただければと思っている。
次に、相談機会の多様化と相談環境づくりについて伺う。
他県の事例として、福井県では事業承継相談会を県内各地で開催し、経営者が専門家と個別にじっくり相談できる機会を設けている。
とりわけ新春事業承継相談会や補助金活用相談会など、秘密厳守のもと、後継者不在やM&Aをテーマにした少人数・個別対応の相談体制が整備されている。
また、同県では、事業承継に向けて企業価値を高める経営の見える化や会社の磨き上げに対して、最大100万円の補助制度も実施しており、承継を受け継がれる側の備えとして支援する姿勢が明確である。
視察の中では、顔の見える関係性の中でこそ、本音の相談がしやすいという声が複数あった。例えば、商工会議所での承継カフェだったり、信用金庫での週1回の相談日を設けたり、JAの指導員による声かけをしたり、半公式・準相談的な接点の中で、気軽に話せる場を広げていくことが大切だと感じている。
県として、こうした地域密着型の相談機会づくりに、今後どのように関与していく考えか伺う。
また、広報啓発のあり方について、センターの所長からは、派手なPRよりも、地元の掲示板など、当たり前のように目にする場所での地道な周知が大切とのお話があった。
事業承継が相談していいこと、早めに考えるべきこととして地域に根づいていくには、継続的な情報発信と文化づくりが必要である。
県として、今後の啓発広報において、こうした地道で実効性のあるアプローチをどのように評価し、支援していくつもりか、考えを伺う。
(寺嶋商工労働部長)
本県では、事業者が様々な機会・場面で事業承継への相談できるよう、県や商工団体、金融機関など39機関・団体で「香川県事業承継ネットワーク」を設立し、事業者がそれぞれの機関等との関係性に応じて相談できる体制を構築している。相談内容は香川県事業承継・引継ぎ支援センターに引き継ぎ、本格的な事業承継支援につながるようにしている。
また、支援センターと地元の商工会・商工会議所の共催により、県内各地で出張個別相談会が開催されており、昨年度は86社が相談に来られた。今年度も県内15か所で開催する予定となっている。
県としては、後援という形で支援しているところであるが、さらに認知度を高めるために広報面で協力することも検討しているところである。
先ほどのご質問への答弁とも関連するが、事業承継が促進されるためには、事業承継の相談は当たり前のこと、早いうちから準備しておくことが常識となり、自然な形で行われるようになることが必要であると考えており、このような気運がつくられるよう広報・啓発に力を入れてまいりたい。
事業承継に悩まれた地域の小さな事業者が支援センターへ相談したことで、譲渡側・譲受側双方が納得できる円滑な事業承継に結び付いた喫茶峠とマスモト興業の2組の事例を県広報誌THEかがわ6月号で特集したところであり、小規模事業者の方にとっては身近なものとして感じていただけたのではないかと考えている。
また、今年度からの事業承継支援強化事業では、商工会・商工会議所の支援力向上を図るための勉強会を開くこととしており、この中で商工会・商工会議所の皆様が情報発信や広報について、どうしたら相手にうまく伝わるかなどが学べるよう工夫を凝らしてやっていきたいと考えている。
事業承継は喫緊の課題であり、本当に地域にとってなければならないのれんがなくなれば困ることになる。県としても、地元の商工会議所・商工会、支援センターと連携しながら、1日1日頑張ってまいりたい。
(要 望)
ぜひ、よろしくお願いする。
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