
(質 問)
産業技術センター所管施設の発酵食品研究所は、明治38年、小豆島醤油醸造組合によって設立された醤油醸造試験場を起源として、現在に至るまで地場産業の技術課題に応える形で活動を続けてきた貴重な研究拠点である。
令和5年度も、さぬきオリーブ酵母を活用した複数の清酒商品やGABA含有の機能性食品の製品化支援など、成果の蓄積が着実に進んでおり、発酵文化の集積地に研究拠点があることは、県の独自性として全国に誇れるものである。
企業ニーズに応じた技術支援が中心で、民間に寄り添い、受託研究や分析支援に注力する姿勢は、“現場主義”の現れ香川県も、研究所の役割を単なる技術支援機関にとどめず、発酵産業のハブとして再定義し、広く県全体の産業戦略と接続するような方向性を検討いただきたい。で、大切なスタンスだと思う。
しかし一方で、「ニーズがあるところにだけ支援が届く」仕組みでは、日常業務に手一杯の中小企業や、新規・異分野の事業者には支援が届かず、発酵産業の新たな広がりやイノベーションが生まれにくくなると懸念している。
実際、研究会はしょうゆ・佃煮・オリーブ・そうめんの4業界で構成され、未参加業種への波及は限定的である。設備や料金表は整備されているが活用したことがない事業者からは「使い方が分からない」「どのような相談ができるのか分からない」といった声も聞いており、研究所の機能強化策として、以下の点について検討をお願いしたい。
第一に、研究所側から重点テーマを年次設定するなど、“受け身型支援”から一歩踏み出す仕組み、体制を作っていただきたい。例えば、長野県では「食品製造業振興ビジョン2.0」を策定し、大学や公設試験研究機関との連携、次世代人材の育成に取り組んでいる。香川県も、研究所の役割を単なる技術支援機関にとどめず、発酵産業のハブとして再定義し、広く県全体の産業戦略と接続するような方向性を検討いただきたい。第一に、研究所側から重点テーマを年次設定するなど、“受け身型支援”から一歩踏み出す仕組み、体制を作っていただきたい。
第二に、機器利用や技術相談に関する情報発信の強化と「お試し利用」といった形でのよりハードルを下げた取組みの導入である。今後、既存業界の支援にとどまらず、小豆島発の発酵文化と技術を県全体の価値として昇華していく拠点となるよう、引き続き県の積極的な関与と政策的な後押しをお願いしたいが、県の見解を伺う。
(寺嶋商工労働部長)
小豆島にある発酵食品研究所は、食品関連事業者の『ものづくりパートナー』として、様々な技術支援を行っている。
例えば、年間1,000件を超える事業者からの技術相談に対応するほか、現地での伴走型の技術指導やニーズ調査など、待ちの姿勢でなく事業者に寄り添った支援を行っている。
さらに、年間2,000件を超え、昨年度は2,327件の依頼試験分析や、品質検査等の施設・機器利用の面で活用いただいている。
食品関係では例年10~20テーマの研究開発や企業からの依頼による受託研究にも取り組み、研究開発の成果は、委員に先日ご出席いただいた発表会などで公表、PRしている。
発酵食品研究所では、県の総合計画に掲げる大きな方針に基づき、1つは「新たな地場商品の開発」もう1つは「食品産業の人材育成」を大きなテーマ戦略として県内産業を後押ししている。
特に「新たな地場商品の開発」に向けては、事業者主催の研究会に講師等として参画するほか、個別の企業訪問等を通じてニーズを把握し、例えば、移住し開業した飲食事業者の「特製ソースづくり」や「オリーブ花酵母を使用したクラフトビールづくり」など、従来の業種・分野を超えたコラボ商品の開発や、未利用物等の加工技術の開発も支援しており、昨年度は18件の製品化につながっている。また、観音寺のオリーブイリコの製品化にも携わるなど、県内全域の支援を行っている。
情報発信については、現在ホームページや研究会、関係団体等を通じたメール案内、Facebook等を活用して行っている。
発酵食品研究所は地域密着型の研究所として、伝統食品事業者の方には知られているが、小豆島に移住された方や開業された方々には、まだ認知度が低い面もある。今後は、食品開発支援の紹介チラシを分かりやすく、利用しやすい内容に改め、身近な役場や商工会、保健所など地域の方の目に触れやすい場所に置きたいと考えている。また、各種の取組みの発信についても、Facebookに加え、インスタグラムを活用するなど、関係機関と調整しながら、できることから順次取り組んでまいりたい。
機器の「お試し利用」については、現在でも、初めて相談に来られた事業者の方には、どの項目を試験すれば何が明らかになるかといった説明や、機器の特徴、使い方をレクチャーするなど、丁寧な対応を心がけている。試験前には内容等を説明し、機器操作に不慣れな方には操作指導サービスも行っているので、お気軽にお問合せ、相談をいただきたい。委員からも利用のハードルが低い旨、周知いただくとありがたい。
(再質問)
新商品の開発や人材育成という方針のもと、様々な取組みを行っており、インスタグラムも新たに開設して発信するとの説明があった。役場や商工会にチラシを置いても、手に取ってもらえないと意味がなく、情報過多な中で、先ほどの西尾部長の話にあったインスタグラムやYouTubeで対象を絞って情報発信する取組みは良い方法だと思うので、そうしたことも含めお願いしたい。
また、発酵食品研究所の機能強化に向けては、大学や企業の技術者が週に1〜2回勤務し、職員や企業と連携する「クロスアポイントメント制度」といった形での試行なども検討できるのではないか。異分野との連携や若手職員の育成、企業との橋渡し役を担うことが期待でき、これは研究所の性格を変える訳ではなく、「今、支援が届いていない人たちにも手を差し伸べる」という工夫にすぎないと思う。
外部人材との協働も、アカデミックな要素を強める訳でなく、より柔軟に“知の流動性”を確保する形の手段として位置づけられるべきと思うが、県の見解を伺う。
(寺嶋商工労働部長)
「クロスアポイントメント制度」は、国が平成26年頃から提唱しており、特定の専門分野に卓越した人材が複数の大学や公的研究機関、企業等を掛け持ちし、色々と活躍できる場を設けるという制度だが、種々の技術相談、課題に対応する専門性、継続性の観点や人的な課題があり、特に財政的な面で、全国的に見ても地方の公的な研究機関や企業では、まだ活用が十分でない状況であるため、他県の状況や課題などを整理しながら勉強してまいりたい。
ご指摘のとおり、外部人材との協働・連携は重要であり、知の流動性を確保する手段として必要だと考えている。発酵食品研究所でも、日頃から大学や公設試験研究機関の研究者とも連携し、膝を突き合わせ、顔の見える重要なパートナー関係を築いている。
具体的には、地元香川大学、特に農学部と共同研究に取り組んだり、研究職員の入庁後の博士号の取得時に大学教員から個別に指導を受けて研究を進めているほか、学生向けの講義やインターンシップ学生の受入れなども行っている。
また、島内の食品関連事業者からは、毎年研修生を受け入れ、事業者の人材育成にも寄与している。
加えて、国の機関である国立研究開発法人産業技術総合研究所とは、平成27年に連携協定を締結し、研究協力や技術開発支援、人材育成など多方面で連携している。
このように、発酵食品研究所を含む産業技術センターのみでは解決が困難な課題も多く、外部人材の知見や力をお借りしながら対応している状況であり、今後も外部人材との協働・連携を念頭に置きながら、事業者支援に積極的に取り組み、県全体の食品産業の発展と活性化に取り組んでまいりたい。
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