産業県議会質問 2026.03.05

令和8年2月 県議会経済委員会質疑応答状況 オリーブの加工流通の強化について

 

(質問)

本年度の小豆郡のオリーブの収穫量が562トンと、過去最高になった。成熟した成木が増えてきたのが要因であり、主産地である小豆島では、県農協がオリーブオイルの搾油事業者への売り渡し価格を初めて引き下げることとなった。

県農協池田集荷場では、過去最高の約100トンの集荷となり、当初の売り渡し価格が代表的な品種で750円から400円にシーズンの途中で引き下げられた。

価格下落の影響によって収穫を断念した農家も少なくなく、例年通りに摘み取っていれば、600トンを超えていた可能性もあるという新聞報道がある。

 

一部では「今年は台風もなくたまたま豊作だった」という見方もあるが、必ずしもそうとは思わない。本県のオリーブ振興は平成10年頃から本格化し、行政においては、苗木配布や植栽支援、栽培技術の普及などを通じて、生産拡大を支援してきた。また、当時植えられた樹木は現在すでに成木期を迎えて生産力そのものが底上げされている。

 

つまり今回は偶発的な豊作ではなく、本県オリーブ産地が成熟期に入ったことによる構造的な生産力の上昇と捉えることができる。

 

表年における加工・搾油体制が追いつかず、価格下落や収穫断念が生じたところであり、加工事業者へのヒアリングでも、表年の果実を全量買取りするためには設備投資による処理能力の拡張が不可欠との話を聞いている。新漬けは24時間以内の加工が必要であり、加熱・冷却工程や排水処理設備がボトルネックとなっているが、小規模農家が個別に対応することは、稼働期間の短さや設備投資負担の観点から現実的ではない。

隔年結果は今後も続くことから、成熟期に入った産地として、生産力に見合った加工インフラの整備は避けて通れない課題であると考える。

 

そこで、第一に、本年度の収穫量増加を県は一過性の現象と捉えているのか、それとも産地成熟による構造的変化と認識しているのか。

第二に、表年に対応できる加工能力の確保について、既存補助制度の活用や県独自支援の拡充により、設備投資を後押しする考えはないか。

第三に、成熟期を迎えた産地として、新漬けや加工品の販路拡大、特に県内消費の底上げについてどのような戦略を持っているのか、見解を伺う。

新漬けのPRは何を行ったのか。

 

(田中農業生産流通課長)

本年度産のオリーブの収穫量が増加したことについて、県としては、2点の要因があると考えている。

 

まず1つ目は、委員ご指摘のとおり、産地の成熟による構造的な変化であり、近年、県内のオリーブ栽培面積は220ha前後と横ばいで推移しているが、平成20年代に植栽されたオリーブの樹が成木となり、潜在的な生産力が高まっている。さらに、成木化にともない、豊作の表年と不作の裏年の収穫量の変動、いわいる隔年結果が大きくなってきており、表年である本年度の収穫量の増加につながったものと考えている。

 

2つ目は、本年度の天候や病害虫等の影響が考えられ、本年度は、台風の影響による実の落下やカメムシ等の被害が少なく、実のロスが少なかったことに加え、秋の雨により果実の肥大が進み、収穫量が大きく増加したものと考えている。

 

以上、2点が収穫量増加の主要因と考えているが、委員ご指摘のように、今後も、表年に天候等の好条件が重なると今回と同様の事態が想定される。

 

次に、加工能力の確保について、県では、県単独事業の「オリーブ生産拡大加速化事業」により、栽培用施設・機械の整備に加え、加工に必要な機械等の整備についても支援し、果実の加工用機械や採油用機械も補助対象となっており、今年度は、この事業を活用して、小豆島町の2者が採油用機械を導入している。

 

また、本事業については、生産者からの要望等を踏まえながら補助要件の見直しや補助対象の追加を行っており、来年度からはオイルの品質向上を目的として使用する予冷庫を新たに補助対象に加えることを現在検討している。

 

また、先般の12月臨時会の補正予算で設けた「香川県農畜水産業者未来チャレンジ支援補助金」においても、採油機やホッパー、ろ過器等のオリーブの加工用機械を補助対象としており、採択されれば、補助率4分の3、補助金の上限2,000万円で支援を受けることができるため、その活用を促している。

 

次に、加工品の販路拡大、県内消費の底上げに関して、国内のオリーブオイルの需要については、家庭用が約7割を占め、その市場規模は増加傾向にある一方で、消費者からは、国産オリーブオイルは高価なことや、商品を選ぶ基準等に関する情報が不足していることが、不満な点として挙げられている。このため、経済的に余裕のある消費者等に対して、かがわオリーブオイルの「厳正な検査に基づく優れた品質」、「徹底した鮮度管理」、「希少性」など価格に見合った価値を伝え、納得して購入いただけるようPRしていくことが重要だと考えている。

 

そのため、昨年12月から3か月間、県内百貨店、小売店等で、県産プレミアムオリーブオイルを購入した方に抽選で県産品をプレゼントするキャンペーンを、今年1月には県内百貨店で、県産オリーブを使用した商品を取り揃えて試食や販売するマルシェを実施し、ご指摘の県内消費者を主なターゲットにしつつ、消費拡大に取り組んできたところ。

 

また、県内事業者による県産オリーブの活用を促進するため、令和元年より、一般財団法人かがわ県産品振興機構が「香川県産オリーブ関連商品認証制度」を運用しており、これまでに、オリーブを使った加工食品や雑貨、化粧品など、多くの商品が認証され、オリーブの果実やオイル、葉、枝などが活用されているところであり、これまで認証された商品数は、86事業者で287商品と聞いている。

今後とも本制度に基づく商品化を促し、積極的にPRするとともに、県産オリーブオイルの情報発信に努め、消費拡大につなげてまいりたい。

 

新漬けについては、今年度、4か国語のPRチラシを作成し、栗林庵でもPR・販売し、消費拡大を図ったところである。

 

(再質問)

施設の受入れキャパを広げないと表年には生産体制のポテンシャルを活かしきれない。

今年の収穫量増加を「天候等の要因による一時的な豊作」と位置づけるのであれば、今後も表年には同様の事態が繰り返される可能性がある。成木期への移行や栽培技術の向上により、生産基盤そのものが底上げされているという見解もあるので、従来の加工能力では構造的に不足することになる。

いずれの立場を取るにせよ、表年に対応できる処理能力を確保しなければ、価格下落と収穫断念という状況は周期的に発生する。

県として、成熟期産地にふさわしい加工インフラの整備を、中長期的な産地政策として位置付け、共同搾油施設や加工ライン増設、排水処理設備への支援など、具体的な検討を開始すべきではないか。

また、生産拡大を推進してきた以上、その次の段階として「生産力を活かしきる体制整備」まで責任を持って進めることが重要であると考えるが、改めて見解を伺う。

 

(田中農業生産流通課長)

委員ご指摘のとおり、オリーブの加工インフラの整備は重要な課題と認識している。しかし、県内のオリーブ加工品を製造する事業者においては、それぞれが独自のブランド化を図るとともに販売戦略も異なるため、共同搾油施設等の整備は難しいのではないかと考えている。

しかしながら、表年に対応できる処理能力への対応は必要と考えており、農業法人をはじめ意欲ある事業者が加工インフラの増設を行う場合は、先ほどご答弁申し上げた県単独の補助事業や補正予算で設けた「香川県農畜水産業者未来チャレンジ支援補助金」等により関連設備の導入を支援してまいりたい。

 

また、安定した生産ができるよう小豆オリーブ研究所において、隔年結果を防止するため、実を間引くなどにより、実の量をコントロールする試験などを行うとともに、生産現場では、枝を切る時期・位置・量を、表年、裏年の状況に合わせて変更するよう、指導してまいりたいと考えている。

 

その他、新たな加工品の開発や販売促進の支援などによる出口戦略を含め、需要と供給のバランスの取れた産地の体制づくりを関係者と協議・協力しながら進めてまいりたい。

 

(要望)

 平成10年頃から苗木を配布し、植栽・栽培を指導して、せっかく普及してきたオリーブの生産体制のポテンシャルを活かし切る形で、加工流通体制の整備にも取り組んでいただきたい。

今年度のように急に買取り価格が下がるという状況で収益が出にくくなると、新規就農希望者も出てきにくくなるという声も聞いている。

オリーブ栽培を夢のある魅力的な選択肢として考えてもらうためにも、生産と加工のバランスを良くするよう努めていただきたい。

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