福祉・介護県議会質問 2024.07.01

2024年6月 文教厚生委員会質疑状況 障害者の就労における工賃向上の取組みについて

 

(質問)

障害のある人が自立した生活を送るためには、就労によって経済的な基盤を確立することが重要である。

このためには、障害者就労を支援するための仕組みを整えるとともに、障害者が就労する施設等の仕事を確保する必要がある。

 

第7期かがわ障害者プランでは、「障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、新分野進出や販路開拓等のノウハウを持つアドバイザーを派遣するなど、積極的に工賃向上に取り組む施設を重点的に支援するとともに、工賃全体の底上げのための支援を行う」ことが示されている。

 

工賃を上げるための取組みの一つとして、優先調達を推進することにより、高単価の作業を増やすことが考えられる。

障害者優先調達推進法で国や地方公共団体等が率先して、障害者就労支援施設等からの物品の調達を推進するよう、必要な措置を講じることを定めている。

具体的には、障害者総合支援法に基づく施設等から優先調達をすることが努力義務として課されている。

 

調達先として定められている施設等は、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所A型、B型、生活介護事業所、地域活動支援センター、小規模作業所である。第7期障害者プランでも、「各所属に設置した「ハートフル推進員」への情報提供などにより障害者就労施設等からの購入を推進」することが定められている。

 

そこで、まず、県庁の優先調達の実績と、調達実績を伸ばしていくための取組みについて伺う。

 

(土手障害福祉課長)

優先調達については、障害者就労施設等が供給する物品及び役務に対する需要の増進等を図り、障害者の自立の促進に資することを目的に制定された障害者優先調達推進法において、国や県、市町は、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るための措置を講ずる努力義務があることに加え、毎年度、調達目標を設けて調達推進のための方針を作成することや、その方針及び実績を公表することが義務づけられている。

 

県庁における優先調達の実績については、優先調達の制度が始まった平成25年度は5,142千円であったが、平成30年度には10,802千円と初めて10,000千円を超え、令和5年度は27,802千円と着実に実績を伸ばしてきている。令和5年度は、目標額の28,000千円には少し届かなかったものの、調達額は、前年度と比較して8.4%増加した。調達件数は、本庁と出先機関を合わせた158所属において、804件となっている。

 

令和5年度調達実績のうち物品は全体で2,938千円と、前年度と比較して4.4%増となり、うち事務用品・書籍は1,939千円で50.8%増となった。また、役務は全体で24,864千円と、前年度と比較して8.9%増となり、うち印刷は10,616千円で14.2%増、清掃・施設管理は11,107千円で55.8%増となった。

 

調達実績の増加に向けては、本庁・出先の各所属において優先調達を推進する「ハートフル推進員」を選定し、優先調達に関する説明会を毎年開催している。その中で、優先調達の取組み事例の説明を行うとともに、調達実績がなかった所属に対して、調達可能な品目や契約方法等を紹介し、積極的な発注を働きかけている。

 

このほか、県庁内の電子掲示板への優先調達情報の掲載や、ナイスハート通信として全庁に優先調達事例を紹介するなど、各所属が取り組みやすい情報の周知に努めている。

 

調達実績については、その年々の予算や事業内容に左右される面もあるが、令和5年度は前年度に調達実績のなかった10の所属において実績が上がっている。所属によってはまだ調達額が少ないところもあることから、今後も粘り強く働きかけを行ってまいりたい。

 

(再質問)

令和4年度の全国における就労継続支援A型、B型の平均工賃の実績として、B型事業所で月額17,031 円、1時間243 円、A型事業所月額83,551 円、1時間947 円となっている。

 

本県の平均工賃は、B型事業所17,371円で全国平均より340円多く、A型事業所78,019円で全国平均より5,532円少なくなっているが、この工賃の向上のための取組みについて伺う。

 

(土手障害福祉課長)

障害のある方が地域で自立した生活を送るためにも、福祉的就労における工賃を向上させることは大変重要であると考えている。このため、県では、平成24年度に「かがわ工賃向上指針」を策定し、以降、3年ごとに見直しを図りながら、その期間における目標工賃の設定や県の支援などを定め、工賃向上に継続して取り組んできたところである。

 

具体的な県の支援策としては、共同受注の窓口となる「香川県社会就労センター協議会」を設置し、受注案件への対応が可能な複数の障害福祉サービス事業所にあっせん・仲介することで、イベントへの出店や農作業など、1つの施設では対応できないような業務量の発注を受けられるようにしている。

 

また、昨年度から新たに、新規業務の開拓や既存業務の拡充に取り組むスーパーバイザー1名を同協議会に配置し、企業がホームページに掲載する写真の加工など、パソコンを使った新たな受注業務の開拓をはじめ、さぬきマルシェへの出店など事業所が直接販売を行う新たな場の確保や請負単価の値上げなど、工賃向上に向けた支援体制の強化を図っている。

 

今後も、同協議会を中心として、新たな受注業務の開拓を進めるとともに、業務を請け負う新たな障害者就労施設の勧誘などにより、受注可能な業務量の増加につなげてまいりたい。

 

加えて、工賃向上に向けては、県だけでなく、市町や国の出先機関などによる取組みも重要であり、協議会のスーパーバイザーと障害福祉課職員が市町等を訪問し、優先調達の協力依頼を行うとともに、工賃向上に向けた取組み事例について、情報共有を行っている。こうした市町等への働きかけなども継続的して取り組み、工賃の向上につなげてまいりたい。

 

(再質問)

共同受注窓口については、第7期かがわ障害者プランで「共同受注窓口の機能を強化し、共同受注窓口を通じた農作業支援や軽作業等の受注の拡大を図るとともに」、「新規業務の開拓や既存業務の拡充などを推進し、工賃向上に積極的に取り組む」とされている。

 

受注拡大のための取組みとして、例えば、共同受注窓口で受注する仕事を切り分けてマニュアル化することで、就労支援事業所側が依頼に応じやすくなる。

また、企業側が障害のことを把握せず、どういった作業を依頼できるのか知らないまま、頼める作業があるのに企業内で完結しているケースもある。

就労支援事業所で請け負える作業があることを発注側に広く周知することで、依頼を増加させることができる。

 

事業所側においては、成果を上げている優良事例となる事業所を県内の各事業所に周知し、研修の機会を設けることで、より単価の高い仕事を創り、請け負えるようになると思う。

 

上記の取組みを県内で実施することで、工賃向上を図れると考えるが、現状の取組みについて伺う。

 

(土手障害福祉課長)

事業所等における受注を増やしていくための取組みについて、県では、新たな分野への進出や販路開拓等に関する専門的な助言を希望する施設に、中小企業診断士などを派遣している。

 

1事業所につき年5・6回、継続的に専門家を派遣し、課題設定や営業先の開拓など、それぞれの事業所の新たな試みが実現するよう伴走支援に取り組むほか、先進的な取組みを学ぶ機会として、工賃向上セミナーを開催している。

 

こうした取組みを通じ、本県では、昨年度新たに、企業がホームページに掲載する写真の加工を3事業所が受注し、約6,000枚を処理した。

 

県としては、このような新たな業務の開拓や受注など、協議会とともに、県内の施設・事業所の意向も伺いながら粘り強く取組みを進めてまいりたい。

 

(要望)

今説明のあった中小企業診断士の派遣や、工賃向上セミナー、中小企業家同友会との連携による周知により、より多くの事業所が、そういった派遣を受けたりセミナーに参加したりすることで、入りにくい情報を知ることができる。

 

ネットワークをうまく活用・連携して、周知につなげていっていただきたい。

 

各事業所がそれぞれのやり方で、あまり外部の知見を入れないというスタンスのところもあると思うが、やはり連携することで、新たな取組みや知見を得ることができ、工賃向上や障害者の自立につながると思うので、是非、そうした取組みを今後も続けていっていただきたい。

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