
(質問)
A型事業所による利用者の大量解雇が2017年頃から相次いでいる。その背景には、国からの報酬や助成金を目当てに、障害福祉サービス事業所を始める利益目的の事業者があり、サービスの質の低下を招いているという状況がある。
障害児・者サービス事業所が年々増加しており、こうした利益目的の事業者も参入している中、関係者、事業者間の連携の必要性が高まっている。
障害者総合支援法は平成25年から施行され、法に基づく日常生活、社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本理念として掲げられている。
こうした基本理念を実現するため、自立支援協議会は、地域の関係者が集まり、個別の相談支援の事例を通じて明らかになった地域の課題を共有し、その課題を踏まえて、地域のサービス基盤の整備を着実に進めていく役割を担っている。
私の友人の相談支援専門員によると、「実際に事業所のサビ管等から、『事業所間連携は必要だが、一法人、一事業所が自主的に実施することは予算的にもマンパワー的にも困難。地域の自立支援協議会でそういった場所を提供していただけるとありがたい』という声をよく聞いている。」とのことであった。
この自立支援協議会は本県内でも県、圏域単位で開催されていると思うが、協議会では、どのように地域の声を聴こうとしているのか、どんな課題が出ているのかについて伺う。
(土手障害福祉課長)
障害のある方が、障害の種別にかかわらず、それぞれのライフステージにおいて、必要とする相談が受けられるよう、相談支援を行う体制の構築が必要であり、県では、県全体での相談支援体制づくりに関する主導的役割を担う協議の場として、県自立支援協議会を設置している。
同協議会では、県内6つの圏域での相談支援体制の状況把握や、施設や事業所等によるサービスの充足状況などについて、情報共有を行うとともに、相談支援体制の整備や相談支援に関わる方を対象とした研修に関する協議のほか、必要なサービスの開発や改善に関する提言などを行っている。これらのテーマを、より具体的に協議するため、現在、運営部会、人材育成部会、権利擁護部会、地域移行部会、医療的ケア部会の5つの部会を設置している。
また、同協議会の委員は、地域において障害のある方の相談に応じる相談支援専門員や医師、特別支援学校校長会、障害者職業センターなど、福祉・医療・教育・労働の各分野で支援を行っている方や、当事者やその御家族の団体、市町で構成している。
各部会の部会長は県自立支援協議会の委員を兼ねており、各部会で話し合った内容を協議会で共有している。
委員お尋ねの、どのように地域の声を聴こうとしているかについては、まずは、各市町が6つの圏域ごとに設置している圏域別の自立支援協議会において、それぞれの地域における課題の把握や情報共有を行っている。
そこで挙げられた課題としては、例えば、小豆圏域では、地域内の施設やグループホームなどが不足していること、相談支援体制の充実、サービスや制度の周知や啓発効果をより高めるための方策などがある。他の圏域の自立支援協議会においても、これらと同様の課題が挙げられており、改善に向けた方策等の検討を行っている。
圏域で把握した課題のうち、広域にまたがる課題や、より専門的な見地から協議する必要のある課題などについては、県自立支援協議会運営部会に持ち寄り、課題の解決や改善に向けた方策について協議したうえで、県自立支援協議会の議題としている。
昨年度、県自立支援協議会の議題になった事項としては、「障害福祉人材の育成・確保」が挙げられる。障害のある方への支援を行う人材について、相談支援専門員だけでなく、施設職員やヘルパーなどの人材も不足していることから、まずは人材確保を図るとともに、質の向上を図っていく必要があることや、障害のある方を支える御家族の生活状況や困りごとを丁寧に聴き取ったうえで、どのように支援していくかを考える必要があるなどの意見や議論が行われている。
(再質問)
今、答弁の中で、各圏域、部会の中での構成者として、当事者や御家族で構成しているとの内容が含まれていたが、それは各圏域、すべてのことか。もしくは、どこか特定の圏域になるのか伺う。
(土手障害福祉課長)
当事者や御家族の話は、県自立支援協議会の委員の中にそういう方がいるということで、答弁申し上げた。
また、中讃西圏域や三観圏域の自立支援協議会では、障害のある方やそのご家族と、自立支援協議会との連携促進を目的として設置している当事者部会を設置しており、その中で、当事者や家族が抱える課題について話し合っていると承知している。
(再質問)
今回答いただいた、当事者や家族が県や一部の圏域の当事者部会で話し合われていることに関連して、2010年に発行された自立支援協議会のあり方についての調査研究によると、地域の実態を把握するためには、地域自立支援協議会のありようが基本となるとされている。
人口規模が20万以下のとある市の事例では、毎月個別支援会議が開かれ、誰もが参加できる定例会が開かれ続け、それぞれの参加者が日常活動についての報告や課題提起を行っていると、それぞれの参加者が新しい情報を得られ、サービス事業者は切磋琢磨してサービスの質の向上となり、相談支援事業者は利用者により良いサービスを紹介できる情報を知り、利用者に多様な選択肢を提示できるといった利点を経験することから、会議参加の意欲がより高まるといった活性化が図られている。
このように、自立支援協議会の取組状況次第で、その地域の実情やニーズを的確に把握し、それを福祉計画に反映することができ、地域全体のサービスの質の向上にもつながる。しかし、現実にはこうした好事例ばかりではないと思う。
県として地域からの報告を待っているだけでは地域の実態把握は困難であり、県から地域への働きかけ方を工夫しなければ実情を知ることはできない。
知ることができなければ方針を立てられず、最新の情報を提供しても地域に広く知らしめて障害者や家族、住民に共有化される可能性も低くなり、行政間でのやりとりに終始する従来の措置制度のような障害福祉のあり方に近づいていってしまう。
障害者総合支援法においては「サービス基盤の計画的整備」の中で「自立支援協議会の名称について、地域の実情に応じて定められるよう弾力化するとともに、当事者や家族の参画を明確化」するという内容が盛り込まれている。
また、障害者が地域で共同生活するグループホームについても、福祉経験が少ない事業者の参入によりサービスの質が低下していると指摘されていることから、厚生労働省は今年4月から運営事業者に対して、外部の目を入れるための会議の設置を努力義務化しており、来年度から義務化される。
このように会議を設置することにより、多様な視点で問題に取り組めるという方法もあるが、既存の枠組みを活用して関係者が施策を一体的・ 総合的に推進するために連携・相互調整できる場があれば、幅広い問題解決につながる。
例えば、埼玉県の取組として、各市町・圏域ごとで自立支援協議会の充実度には差があるため、相談支援体制整備事業を活用して、埼玉県相談支援専門員協会が『アドバイザー』として運営を一部受託され、県内全地域で自立支援協議会を含む相談支援体制が活性化するよう努めている。
上記の事例を踏まえ、幅広く地域の声を吸い上げ、かつ、サービスの質を高めるため、そして当事者や家族の参画を促すことも含めて、本県の自立支援協議会を活性化するための取組について伺う。
(土手障害福祉課長)
自立支援協議会の活性化に向けては、障害のある方やその御家族が抱える課題やニーズを把握し、それぞれの地域での実情に応じて、課題の改善に取り組むことが重要である。
障害のある方や御家族一人ひとりの御意見を直接お伺いすることは難しいため、県自立支援協議会には、香川県身体障害者団体連合会や香川県手をつなぐ育成会などの関係団体に委員として参加いただき、当事者の御意見を幅広くお聞きしている。
また、先程も答弁したが、中讃西圏域や三観圏域の自立支援協議会には当事者部会が設置されており、当事者や家族が抱える課題等について話し合うとともに、同部会の会長である、手をつなぐ育成会や身体障害者協会が圏域の自立支援協議会に参加し、当事者部会で出された意見等を伝えている。
このほか、高松圏域では、「当事者団体・家族会部会」の部会長である、高松市障がい者基幹相談支援センターが圏域の自立支援協議会において、同部会で出された意見等を伝えている。
さらに、本年3月には、国から『協議会の設置・運営ガイドライン』が公表され、市町村と都道府県の自立支援協議会の「役割と機能」、「それぞれの協議会の進め方」、「双方の効果的な連携」等について示されたところである。県では、このガイドラインの内容を各市町に周知するとともに、協議会の運営に活用していただくよう依頼している。
加えて、県では、圏域の自立支援協議会に担当者が参加し、協議会の議題や進め方等についてアドバイスを行っているほか、障害のある方への支援業務に従事する方が自立支援協議会の仕組みや役割を十分に理解し、連携した取組みを展開していけるよう、各市町に対し、自立支援協議会の概要や活用方法について、関係者への周知を依頼している。
こうした取組みを通じて、自立支援協議会がより多くの支援者に認知され、地域の課題を吸い上げやすくなるとともに、自立支援協議会で活発な議論が行われるよう、県としての支援に努めてまいりたい。
(要望)
各圏域の協議会にそうした周知依頼をしていただけるということで、そうした取組によって、より多くの関係者、当事者の意見を聞くことができるようになることを祈っている。
それと同時に、当事者部会が設置されていないケースにおいても、設置する動きが進めば、より継続的に声を吸い上げる場ができると思うし、そうしたことも期待して、質問を終わる。
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