
(質問)
小豆島の兼業農家の方から、「うちは認定農業者ではないので、補助金を受けられないと聞いていて、諦めている。」「正直なところ、田植え機やトラクターやコンバインを個人で買うには1,000万円近くかかり、続けるのが難しい。」と聞いた。
こうした声は、農業経営調査の統計からも裏付けられているように、香川県の農業者のうち、認定農業者や専業農家はむしろ少数派であり、多くは規模の小さい兼業農家である。
特に中山間地域や離島部では、こうした兼業農家が農地の維持、景観「経営強化」や「所得向上」を目指すプロ農家向けに設計されており、補助対象や要件の多くに認定農業者が条件として課されている。
実際、県の主要事業概要を見ても、「担い手の確保・育成」や「新規就農者経営支援」などの多くが、認定農業者・認定新規就農者を主な対象としており、兼業農家や小規模な耕作者には直接的な支援が届きにくい構造となっている。もちろんの保全、地域文化の継承に不可欠な役割を果たしている。
一方で、現行の制度の多くは、、認定農業者の育成は農業の基盤強化において重要であり、県の方針としても理解し、応援している。
しかし一方で、制度の外側に置かれている農家の存在も無視できない。たとえば、農業支援グループや高齢農家が多面的機能支払事業に参加しようとしても、申請手続きが煩雑で諦めてしまうケースも少なくなく、書類作成が負担で、要件を満たすのが難しいという声もある。
加えて、法人化して機械を共同購入すれば補助対象になるが、そうでなければ地域での機械更新は困難という実情もある。
こうした制度のはざまにいる農家の存在を、県としてどう認識しているのか、伺う。
(桑原部長)
令和2年の農林業センサスによると、本県の個人経営体の「経営耕地面積規模別経営体数」は、1ha以上が3,435戸に対して、1ha未満が12,588戸となっており、本県の農家1戸あたりの平均耕地面積1.1haを下回る、小規模な農業者が全体の8割を占めている。認定農業者など核となる担い手への農地集積率は、約3割であり、残りの約7割は、兼業農家等が農地を利用している状況である。
このような状況を踏まえれば、本県農業を持続的に発展させるためには、担い手だけではなく、兼業農家など小規模農家にも農業を担っていただくことで、地域の農地と農村を支えていくことが不可欠であると考えている。
地域を支える兼業農家が、機械購入等の負担を軽減しつつ、効率的に営農を継続できるよう、複数の兼業農家等が構成員となる集落営農組織の設立を支援してきたところである。
また、昨年度から、兼業農家等の多様な農業人材の営農継続を支援するため、「多様な農業人材経営計画認定制度」を創設し、経営計画の達成のために必要となる農業機械等の導入支援について、県と市町が一体的に取り組んでいるところであり、昨年度は109人を認定したところである。
一方、多面的機能支払交付金については、農業従事者の減少・高齢化により、事務手続の煩雑さから活動継続を断念する組織も発生していると聞いており、国に対し、先月12日に事務手続の簡素化を重点要望の中で要望したところである。
引き続き、核となる担い手と力を合わせて農地と農村を守っていけるよう、国に対しては、地方の現状を伝え事務の簡素化等を働きかけるとともに、兼業農家等への必要な支援を行ってまいりたい。
(再質問)
兼業農家が地域農業を維持していくためには、認定の有無に関わらず、一定の支援制度が必要だと考える。
まず、認定農業者でなくとも活用可能な支援制度を拡充する考えはないか。たとえば、「多様な農業人材サポート事業」などは対象を広げているが、全体の中ではごく一部にとどまっているのが現状である。今後、県として対象範囲の拡大や、予算配分の見直しを行う余地はないか。
2つ目に、小規模農家による機械の共同利用や、地域単位での設備更新を後押しする仕組みについてである。
高額な農機を個人で負担するのが難しい中、法人化していない農家も対象とした「地域機械バンク」など、柔軟な支援スキームの検討はできないか。
3つ目に、制度の手続きの簡素化や集落単位での農地維持への支援である。多面的機能支払事業などでは書類の煩雑さがネックとなっていることから、県として申請支援やモデル集落の導入など、より現場に即した工夫ができないのか伺う。
私たちは、県が進めている農業政策の方向性を理解し、その趣旨には賛同している。だからこそ、実際の現場から寄せられる声を丁寧に拾い上げ、制度の見直しや運用改善に共に取り組んでいきたいと考えている。
国制度の多くが認定農業者を前提としていることは理解しているが、それを前提にするあまり香川県の実情に合わない制度運用になっていないか。
今後の農業施策において、「制度のはざまにいる農業者」をどう支援するのか、県の方針を伺う。
(桑原部長)
先程も答弁申し上げたが、兼業農家は本県農業を支えるために欠かせない存在であることから、こうした方々への支援は必要であるという認識である。
このため県では、後継者の確保・育成や生産振興などの目的に応じて、規模拡大や収量の増加などの要件を設定し、機械・施設等の整備を支援してきたところである。また、兼業農家等が構成員となる集落営農組織についても、直面する課題に対応できるよう、組織の若返りや中山間などの条件不利地域支援などのメニューを追加することにより、本県の実情に応じた支援を行っているところである。
支援制度の拡充については、本県農業の現状を踏まえて要件を設定しているが、引き続き、委員御指摘の多様な農業人材サポート事業の充実も含めて、農業者からの御意見も参考とさせていただきながら、今後も検討してまいりたい。
委員御指摘のとおり、近年の価格高騰により、農業機械の更新が負担となっていることから、県では、集落営農組織に対して、共同利用に必要となる機械導入等を行う際に、法人だけでなく任意組織も対象とした支援を行っている。
これらの取組みは、集落営農組織の労働力不足を補い、コスト負担の軽減や生産性の向上につながるものであることから、引き続き、支援してまいりたいと考えている。
多面的機能支払制度は、現在、301組織、14,311haで取り組まれ、県内農振農用地面積の約6割弱をカバーしている状況である。
しかしながら、高齢化や過疎化が進行する中、委員御指摘のとおり、活動期間が終了した組織も含めてアンケートしてみますと、「事務手続が負担となっている 又は 今後負担となる」と答えた組織が約7割に達している。事務作業が負担となり、活動の継続が困難になりつつあるという課題が明らかとなったと考えている。
このため県では、組織の活動内容が土地改良区の施設管理と関連性があることや、事務作業を土地改良区が担うことで事務負担の軽減が図られることから、組織の活動範囲を土地改良区単位に広域化するよう推進しているところである。
先ほども答弁申し上げたが、国に対しては、6月12日に知事と正副議長による要望活動を行い、多面的機能支払制度の予算確保と併せて、より一層の事務手続きの簡素化、事務委託を促すための支援制度の創設を要請したところであり、引き続き、様々な場面を通して国に対し要望してまいりたい。
(再々質問)
ぜひ土地改良区とも協力しつつ、連携して農家の支援にあたっていただければと思う。
兼業農家が8割以上ということで、こうした方々が長年にわたって農地を守ってきて、地域の景観・コミュニティを支えてきたというのをあらためて感じている。
切実な状況で高齢化が急速に進む中で、地域農業を支えてきた兼業農家が離農すれば、農地の荒廃が進み、地域の農業の基盤が崩れかねない。今、対策を講じないと間に合わない、まったなしの状況と認識している。
また、世界的な物流の不安や気候変動を受けて、食料の安全保障の重要性もこれまで以上に高まっており、分散した農地を守る多様な担い手の存在こそが国土の保険であり、非常時のセーフティーネットだと思っている。
地域で営農を続けている兼業農家への支援は、農政という側面だけでなく、危機管理や食料政策としても極めて重要と思っている。あらためて部長の決意を伺う。
(桑原部長)
委員御説明のとおりの状況と考えており、今まで、核となる担い手の方々に農業を支えていただくという方向だが、これだけ、高齢化・人口減少が進み、気候が変動する中、環境的にも作りにくい環境になっていると思う。構造的に65歳で線を引いた時、65歳までの就農者数は増えてきている傾向にあるが、それ以上はリタイアされて減ってきており、全体として減少している。そういった中、兼業農家へ支援をしていくことは、地域を守り、おっしゃるとおり食料安全保障の確保の面からも必要であるし、地域全体を支えていくことからも必要と考えているので、次期計画において方向性をお示したうえで積極的に取り組んでいきたい。
(要望)
はざまにいる農家にこそ光をあて、現状に即した柔軟な支援の在り方を今こそ、またあらためて検討いただきたい。
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