
【質問】
本県では、遊休農地等利活用促進事業や所有者不明農地制度を活用し、遊休農地の再生や発生防止に取り組んでいると承知している。しかし、国の「遊休農地に関する措置の状況に関する調査」をみると、令和5年度の全国の遊休農地等の面積は25万ヘクタールであり、本県においても7,737ヘクタールと毎年増加している。
中山間地域や島しょ部のみならず、比較的営農条件に恵まれた平坦部でも発生していると聞いている。本県の農地に占める遊休農地の割合をみると約20%と、全国平均の約5%と比べて、高い状況であり、この数字から見れば、遊休農地の再生利用や発生防止に向けた支援が不十分であると考える。
私の地元の小豆島町においても、住民からは「耕作放棄地が広がっている」という実感の声が多数寄せられており、イノシシなど鳥獣被害の拡大、雑草や病害虫の発生源、さらには大雨時の土砂災害リスクの増大など、農業の枠を超えた地域課題に直結している。
さらに先日の新聞報道では、10年後の後継者が決まっていない農地が17府県で5割を超えたとの調査結果を農林水産省が公表したとのことである。
特に関東、中国、四国を中心にその割合が高いとのことで、本県では、71.9パーセントの農地で後継者が決まっていない状況であり、このままでは遊休農地が広がる懸念があると強く感じる。
また、別の報道によると、国内の所有者不明農地は、103万ヘクタールに上り、国内農地の24%を占めており、持ち主の同意を集めるのに労力がかかることから、農地の集積・集約化や遊休農地の再生を進める上で障壁となっているとのことである。
そこで、まず、県として、これまで実施してきた遊休農地の再生利用や発生防止の取組みの内容とその実績について。また、これまでの実績をどのように分析し、遊休農地の解消に向けて今後どのような方向性で政策を展開していくのか。その一方で、所有者不明地や相続未登記農地といった構造的な課題にどのように対応するのかについて伺う。
【再質問】
遊休農地対策は、農地を守ることにとどまらず、防災、観光、移住促進など、香川県の将来像に直結する総合的な課題である。そこで本県においても、他県の先進事例を積極的に参考にする必要があると考える。
例えば千葉県では、遊休農地や荒廃農地の発生防止・解消に向けて、県が主体となって「対策マニュアル」や「事例集」を整備し、農業委員会や農地利用最適化推進委員に対して明確な指針を示している。制度を理解しやすくし、成功事例を共有することで、農家や土地所有者が一歩を踏み出しやすい環境を整えてた取組である。
また、高知県では傾斜地を活かしたゆず栽培をブランド化し、加工や輸出までを含めた6次産業化を県が後押ししている。
鹿児島県では営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングを導入し、発電収入と農業収入を組み合わせた持続的モデルを確立している。
さらに秋田県では、耕作放棄地を活用して牧草やエネルギー作物を栽培し、堆肥やバイオマスとして地域に還元する「循環型農業」に取り組んでいる。
これらの事例はいずれも、地域の条件に応じた作物や利用形態を導入し、農業のみならず観光、エネルギー、環境保全などを組み合わせることで成果を上げている。
本県でも、まずは千葉県のように制度の周知や事例の見える化を強化し、さらに高知・鹿児島・秋田のような実践的モデルを条件不利地に導入するなど、複合的な活用を積極的に進めるべきだと考える。
県として、これらの事例を参考にし、香川県版の取組を展開していく考えがあるかどうか、改めて伺う。
【答弁】
〔遊休農地の現状について〕
本県における遊休農地の現状については、全国的な問題である農業者の高齢化や労働力不足に加えて、狭小農地や特殊な水利慣行といった本県特有の事情により、近年、増加傾向にある。国の調査における令和5年の遊休農地面積は7,737ヘクタールで、農地全体に占める遊休農地の割合は21.4%となっており、遊休農地の再生利用とともに、その発生防止が喫緊の課題となっている。
〔県のこれまでの取組内容〕
そのため、県では、遊休農地対策として、県単独の「遊休農地等利活用促進事業」により、担い手が行う遊休農地の再生作業や発生防止に要する経費を助成するほか、農地中間管理事業を活用した担い手への農地の集積・集約化を促進している。
加えて、中山間地域等直接支払制度、多面的機能支払制度などの各種施策を地域の実情に応じて効果的に組み合わせることにより、遊休農地の再生と発生防止に取り組んできたところである。
また、今年度からは、市町が策定した地域計画のブラッシュアップを通じ、地域で守るべき農地を明確にしたうえで、県農地機構を通じた農地の集積・集約化の推進により、農業利用されている農地を継続して維持できるよう取り組んでいる。
〔これまでの取組みの実績〕
取組実績としては、県単独事業により令和6年度に0.6ヘクタールの遊休農地の再生利用が行われた。また、平成29年度以降、国や県の遊休農地の再生対策事業を活用し、約21ヘクタールの遊休農地の再生利用につながっている。
また、遊休農地の発生防止については、香川県農地機構を通じた担い手への貸借として、平成26年度から令和6年度までに4,221ヘクタールの貸付を行っており、この中には、遊休農地も含まれていることから、その発生を未然に防ぐ効果は一定程度あったものと考えている。
これらの取組みなどにより、平成26年度から令和5年度までの10年間で見ると、年間平均約130ヘクタール程度の遊休農地が解消されるなど、一定の効果が上がっているものと認識しているが、一方で、新たな遊休農地が、年間平均約345ヘクタール増加していることから、更なる対策が必要であると考えている。
〔遊休農地解消に向けた今後の対応〕
今後、県の単独事業はもとより、国の補助制度などを活用した遊休農地の再生支援などに積極的に取り組むとともに、地域計画のブラッシュアップを通して、香川県農地機構と連携して、市町が行う農地利用の最適化に向けた取組みを全面的にサポートし、遊休農地の発生抑制を図っていきたい。
加えて、農業改良普及センターでは、県農地機構などと連携し、現状の営農継続が困難な農家に対して、転作する作物の栽培指導や、引き続き耕作してくれる方への農地の斡旋など、遊休農地の発生防止につながるよう支援していく。
〔所有者不明農地や相続未登記農地への対応〕
また、所有者不明農地や相続未登記農地については、権利関係が複雑となるケースが多く、農地の集積・集約化を進めるうえで阻害要因となることや、災害時における被害を拡大させる恐れがあることから、当該農地を借り受け、耕作する方をマッチングさせ、適正に管理してもらう取組みが重要である。
このため、国においては、相続人が分からない場合でも農地法や農業経営基盤強化促進法に基づき、県農地機構を通じて借受けできる「所有者不明農地制度」が設けられており、県ではこの制度を活用し、耕作者への利用権設定を進め、平成30年度の制度創設以降、4.2ヘクタールの所有者不明農地等について、利用権設定し、耕作放棄地の解消に結び付けてきたところである。
加えて、今年度からは、新たに、国の「所有者不明農地対策事業」を活用し、香川県農業会議と連携し、農業委員会が所有者を探索し、借受人をマッチングする活動を支援している。
初年度である今年度は、さぬき市・東かがわ市・土庄町の3市町で取組みを開始し、所有者の探索や農地の借受人の抽出などを行っているところであり、来年度以降は、対象市町を拡大のうえ、継続して取り組むこととしている。
県としては、引き続き、香川県農業会議や市町農業委員会と連携し、こうした取組み通じて、意欲ある担い手への農地の集積・集約化を行うことにより、所有者不明農地等の解消を通して、遊休農地の発生防止や農地利用の最適化に努めていきたい。
〔遊休農地対策に取り組みやすい環境づくり〕
委員御指摘のとおり、遊休農地対策に係る支援制度の周知や解消事例の見える化に取り組むとともに、地域の実情に応じた遊休農地の活用策をモデル的に実施することは、遊休農地の解消に有効な取組みであると考える。
そのため、本県でも、県内の遊休農地解消の優良事例を県のホームページで掲載しているほか、遊休農地対策を含めた支援施策を一覧にまとめたガイドブックや遊休農地対策も目的とした「耕畜連携マニュアル」の関係者への配布など、農家をはじめとした関係者が遊休農地の解消に取組むきっかけとなるよう、働きかけている。
〔地域の実情に応じた取組み〕
地域の実情に応じた遊休農地対策としては、県では、これまで、栽培が比較的容易で収益性が見込める本県特産のオリーブを対象に、遊休農地を再生し、作付けに取り組む農家を支援する「オリーブ生産拡大加速化事業」や、耕種農家が遊休農地を活用して生産した飼料作物を畜産農家が使用する耕畜連携の仕組みを構築する「耕畜連携自給飼料確保推進事業」に取り組んできたところである。
これまで、「オリーブ生産拡大加速化事業」は、平成22年度から令和6年度までの15年間で21.7ヘクタール、「耕畜連携自給飼料確保推進事業」は、令和5年、6年度の2年間で1.5ヘクタールの農地を再生している。
また、遊休農地の発生防止の手法の一つとして、農地を市民農園として活用することも有効であることから、令和6年度からは、遊休農地を活用した市民農園の開設に伴う整備にかかる経費の支援に取り組んでいる。
具体的には、遊休農地を活用して新たに市民農園を開設する者に対し、区画整理や水道設備、駐車場、簡易な農機具倉庫などの整備に必要な経費の2分の1以内、補助上限100万円の支援を行うもので、今年度は、多度津町で1件(事業費1,047千円、県補助金523千円)の市民農園が、遊休農地を活用して開設された。
今後は、委員御提案の他県の好事例も参考にしながら、将来にわたって本県農業の基盤となる農地を維持・確保できるよう、各市町や農業委員会、県農地機構等の関係機関と連携し、地域の実情に応じた総合的な遊休農地対策を鋭意進めてまいりたい。
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