
小泉委員(質問)
香川県の農業は、兼業農家の皆さんが地域の農地保全や景観維持を担い、農村コミュニティを支える極めて重要な存在となっている。しかしながら、担い手不足や高齢化、価格低迷、労働力の不足などを背景に、兼業農家の離農がじわじわと進んでいる現状がある。
こうした中で、兼業農家の方々が「もう少し続けてみよう」と思える環境づくりを、県として改めて強化していく必要があると考える。兼業農家の多くは、本業の合間の限られた時間で農作業を行っており、作業の手間が比較的少なく、地域の条件に合った作目であることが、継続の大きなポイントとなる。果樹などの高い技術や管理労力を要する品目は、兼業では取り組みにくい面がある一方で、地域の地力に合った主力作物や、省力化しやすい作目であれば、無理なく続けられる可能性があると感じている。
県ではこれまでも、県産農産物のブランド化や販路拡大に取り組まれており、一定の成果が出ていると承知している。その一方で、令和6年度の県の評価でも、気候変動の影響などにより生産量が伸び悩む品目があることや、認知度向上・販路拡大に引き続き取り組む必要性が示されており、収益性の確保はなお課題とされている。こうした状況を踏まえると、兼業農家を含む多様な農家が“売れる仕組み”に参加できる環境づくりが今後ますます重要になると考える。特に、小規模・兼業農家の方々は、少量生産であっても、加工事業者や飲食店、直売所とのマッチングにより販売機会
が大きく広がる。山形県では、県が主体となって、規格外野菜や伝統野菜など小ロットの農産物を飲食店へ届けるマッチングアプリを実証事業として運用し、本年度の取引額は約200万円に達し、地域内での需要と供給の可視化や、地産地消の促進に成果を上げていると報じられている。また、富山市のとれたてネットワークのように、市内180店舗と連携し、地域店が地元産品を日常的に扱う仕組みは、まさに小規模農家の販路確保に資するモデルとなっている。本県でも、①県内外の小売・飲食事業者とのネットワーク構築、②ECを含む販売チャネルの多様化、③少量生産者も参加できる加工・規格づくり支援など、「売れる仕組み」の拡大が必要だと考える。
そこで今後、県として兼業農家を含めた多様な農家の販路拡大にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
(再質問)
ビジネスネットワークには、現在、小ロットの生産者の登録はないが、今後、拡充するといった趣旨で良いか。
(再々質問)
省力化支援について伺う。兼業農家にとって、草刈りや剪定、収穫といった日常作業の負担は、農業を続けるかどうかの大きな分岐点になり、限られた時間で農作業を行う兼業農家にとって、作業の省力化や支援体制の充実は、農業継続の鍵と考える。
県が実施する「地域計画実現支援事業」のうち農業支援グループに対する支援は、地域に作業支援の担い手を確保するうえで重要な枠組みと認識しているが、地域の状況によってはグループの構成員として若手の確保を求めることが難しく、制度上の要件を満たすことが困難なために活用が進みにくいという声も聞いている。制度の趣旨を踏まえつつも、中山間地域などでは柔軟な運用が求められる場面もあるのではないかと感じる。
また、県では「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策事業」により、農業支援サービス事業者の機械導入やサービスモデル化を後押しされており、省力化に向けた重要な取組みだと受け止めているが、小規模・兼業農家にとっては、スマート農業技術の初期投資や操作習得への不安から、導入判断が難しい実情もある。
そこで、地域で1台を共同利用できる省力化機械やスマート農機のシェアリングの促進、草刈りや収穫などを担う作業受託サービスの拡充と地域実情に応じた制度運用の工夫、休日や夜間にも参加しやすい技術研修や相談体制の整備、普及センターとの連携強化などにより、兼業農家が「あと数年、続けてみよう」と思える環境を整えていくことが必要だと考える。
兼業農家の離農抑制に向け、省力化支援や農業支援グループの育成、農業用機械の共同利用、作業受託サービスの拡充、技術相談体制の強化など、県として今後どのように取り組んでいく考えか伺う。
(要望)
省力化に向けて、農業支援グループの支援拡充を進めてほしい。高齢化が進んでいるため、若い人が見つかりにくいことから、広範囲な作業受託ができるように柔軟な運用をしてほしい。相談体制についても、小規模な農業者は情報が届きにくいため、地域計画の見直しなどの機会に参加してもらい情報を届けてほしい。
(小塚農政課長)
冒頭に、部長から説明したとおり、本県の農業は、全体の約1割の専業農家が販売額の全体の8割を占める一方で、残る約9割の兼業農家の方々が農地の7割を守っていただいているという状況にあり、委員がご指摘のとおり、兼業農家を含めた多様な農家の販路拡大は重要な課題であると認識している。
ご指摘の小売や飲食事業者のネットワークの構築、あるいは少量生産者でも参加できるような加工づくりの支援について、今年度から新たに、食品製造事業者や小売、飲食事業者などに、農林水産物を提供したいという農林漁業者、それから、原材料商品として活用したいという食品事業者や飲食事業者等を対象にして、県のウェブサイト上で両者をマッチングするかがわ農商工連携ビジネスネットワークを設置した。
先月末の時点で、農林漁業者21者、食品事業者等25者の計46者を登録しており、10月には食品事業者による産地視察のツアーを開催したり、11月には食品事業者11者、農林業者13者による合同商談会を開催した。
このネットワークでの商談会の結果については、例えば県産オリジナルキウイを使った加工品の開発や、あるいは食品事業者の提案でしょうゆ豆の原材料の「そら豆」を契約栽培に結びつけた事例とか、あるいは減農薬減化学栽培等で環境負荷低減事業活動等に取り組む生産者を県が「みどり認定」に認定している。その認定者が生産した野菜が、県内小売店218店舗、それから飲食店200店舗の計418店を「かがわ地産地消協力店」として登録しているが、そこで取り扱われる見込みとなるなど、様々な具体的なマッチングが進んでいる。
兼業農家については、今後も産地直売所とのマッチングができるようにしたり、小ロットでの販売も視野に入れて、ネットワークを活用して、販路拡大の支援を行う。
それから、Eコマースによる販売チャネルの多様化の対応については、
令和2年度から、県のウェブサイト「讃岐の食」で農林水産物の宅配が可能な生産者を登録して、情報発信をしており、先月末時点で、生産者63者が登録しており、月平均で1万2000人が閲覧をしている。
登録者からは、商品の魅力、それからECサイト等の情報をウェブサイトに掲載をしたことにより、県内外の消費者に知っていただくことができ、リピーターも増えたというような声も聞いており、このEコマースの面でも県のサイトが役に立っていると考えている。
また、本年の9月には、県の外郭団体である「かがわ産業支援財団」と連携をして、委員の地元である小豆島産業会館において、「地域産品を売る力 ECサイト活用術」と銘打ち、Eコマースに取り組む際のポイントについて研修会を開催した。ここでは、6次産業化に取り組む生産者、それから、今後、取り組みたいという意向のある生産者19名が参加し、研修をしたところである。
現在、策定中の次期香川県農業・農村基本計画において、これも部長から説明をしたが、儲かっている約1割の専業農家が、さらに成長するための攻めの施策にあわせて、残る9割の兼業農家の方々には、農業、農地を守っていただくという観点から、守りの施策を展開するということにしており、これからは、それぞれのニーズに合わせた販路拡大を推進していきたいと考えている。
特に、兼業農家とか、あるいは定年帰農者、定年退職して帰ってきて農業を行う方などが、小規模農地で露地野菜等の栽培に取り組む場合、産地直売所が登録している「かがわ地産地消協力店」とのマッチングを推進するなど、次期計画において、地域資源を活用して、小規模な農地でも可能なスモール農業を位置付け、兼業農家でも継続できる農業の実現を目指して参りたいと考えている。
これらを踏まえ、今後、先ほど説明した「かがわ農商工連携ビジネスネットワーク」等の取組みを充実させるとともに、地域資源を活用したスモール農業の推進を図りながら、兼業農家も含めた多様な農家の販路拡大に取り組んでまいりたい。
(小塚農政課長)
現在、登録している生産者は、専業農家が主であるが、今後、兼業農家も含めて、小ロットでも販売が可能になるような形で拡充して取り組めるようにしていきたいと考えている。
(古市農業経営課長)
委員ご指摘のとおり、本県農地の約7割を担う兼業農家にとって、自らの農地を個人で管理していくためには、農産物の栽培管理はもとより、畦畔の草刈りや農業用水路の維持管理などの農作業負担が大きく、今後、農業機械の故障などをきっかけに離農する兼業農家が増えていくことが懸念される。
今後も兼業農家の方々に営農を継続していただくためには、農作業の分業化を進め、小規模な農家にとって、負担が大きい農作業の一部を委託できる組織を育成していくことも重要であると考えている。
このため、県では、令和3年度から、県独自の「みんなで守る地域農業支援事業」で農業支援グループの立ち上げと、作業受託面積の拡大支援に取り組んできたところ。
その結果、令和6年度末までに、県内で24グループが設立され、地域の草刈りや耕起、収穫などの農作業の請負いが行われており、これまでに、延べ約100ヘクタールの農地で、新たに作業受委託が開始された。
令和7年度についても、新たに4グループが設立され、さらに、現在、1グループが設立に向けた準備を進めている。
加えて、今年度からは、県単独補助事業の「地域計画実現支援事業」において、これらの農業支援グループが農作業受託の活動に必要とする農業機械等の導入経費に対して支援している。
一方で、制度の運用についてご指摘があった。現状、「65歳以下の構成員を含む3名以上のグループ」を支援の対象としている点についてかと思うが、これは、地域計画の実現に向けて、農業支援グループとして10年先も農作業の請負を継続していただくことが重要である点から設けているものである。ご指摘を踏まえ、今後も、地域の実情に応じた運用となるよう、農業支援グループなどのご意見を伺いながら検討するとともに、地域内での活動だけでなく、広域での農業支援サービスが展開できるよう、支援内容の充実を図るとともに、農業支援グループが受託する作業メニューの拡充支援についても検討してまいりたい。
また、農業機械の共同利用の支援については、これまで、兼業農家等が構成員となっている集落営農組織に対する導入支援を行うことで、個々の農業者の負担の軽減と組織の地域農業の営農継続を推進してきたところである。
個人の兼業農家については、令和6年度に創設した多様な農業人材経営計画認定制度で認定された経営発展に意欲的な農業者に対し、農業機械の導入支援を行っているが、今後は、複数の多様な農業人材による共同利用のための導入も支援対象とすることについても検討してまいりたい。
さらに、スマート農業技術をはじめ、農業技術の相談体制については、兼業農家の方に関しては、令和7年11月末現在、多様な農業人材経営計画の認定を受けた145名の方を対象に、各普及センターによる栽培指導や経営改善のための伴走支援を行っている。今後、農業大学校において営農継続に必要な農業基礎講座や農作業安全講座などの実践的な研修の充実を進めたいと考えており、相談や目的に応じたきめ細かな対応ができる体制づくりに努めていく。
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